皮膚の厚みの変化について

皮膚の厚さの異常は、医学的には「角化症」や「皮膚萎縮」などとして分類されます。かかとのガサガサから、紙のように薄くなった皮膚まで、その現れ方は様々です。
これらは見た目の問題だけでなく、ひび割れによる痛みや出血、感染のリスクの増加など、日常生活に支障をきたすこともあります。特に糖尿病の方では重篤な合併症につながることもあるため、早めの対処が必要です。
皮膚の厚さの変化の症状と特徴
角質が厚くなる「角化症」は、かかと、ひじ、ひざなど圧迫を受けやすい部位に多く見られます。一方、萎縮は顔面、前腕、下腿などに多いです。厚くなった皮膚はカサカサ、ゴワゴワ、ひび割れを伴い、薄くなった皮膚は透明感があり、血管が透けて見える、シワが目立つなどの特徴があります。
随伴症状
厚さの変化に伴う症状として、角化症ではかゆみ、痛み、亀裂、出血などが、萎縮では紫斑ができやすい、傷が治りにくい、皮膚の張りがなくなるなどがあります。
皮膚の厚さが変化する主な原因
角化症(分厚くなる)の原因
繰り返される摩擦、圧迫、乾燥により、防御反応として角質が厚くなります。また、真菌感染、遺伝性疾患、加齢による代謝低下なども原因となります。
皮膚萎縮(薄くなる)の原因
加齢による真皮のコラーゲン減少、長期のステロイド外用薬の使用、紫外線による光老化、栄養不足、ホルモンバランスの変化などにより皮膚が薄くなります。
基礎疾患
糖尿病、甲状腺疾患、膠原病などの全身疾患が原因で、皮膚の厚さに変化が生じることもあります。
関連する主な疾患
みずむし(白癬)
みずむしは足を中心に様々な部位に起こりますが、「角質増殖型」と言われるタイプでは、かかとの角質が厚くなってガサガサになります。一見、乾燥と間違えやすいですが、顕微鏡検査で白癬菌を確認することで診断できます。
乾癬
皮膚の細胞が異常に早く増殖し、厚い銀白色の鱗屑を伴う赤い発疹を生じます。肘、膝、頭皮、爪などに好発し、関節症状を伴うこともあります。
アトピー性皮膚炎
主に皮膚のバリア機能の低下により、慢性的な皮膚炎が生じる疾患です。強いかゆみを伴うため、繰り返し掻いてしまうと皮膚が厚くなる苔癬化を起こします。
胼胝(たこ)・鶏眼(うおのめ)
たことうおのめ(魚の目)は、皮膚への持続的な圧迫により生じます。胼胝は面状に、鶏眼は点状に角質が厚くなり、後者は芯があるため痛みを伴います。
ステロイドによる皮膚萎縮
ステロイド外用薬の副作用として、皮膚が薄くなり、毛細血管拡張、紫斑などを生じることがあります。主に長期使用時に見られる症状で、薬の変更が必要な場合もあります。
日常生活での対処法
日常生活では、皮膚の厚さの異常を予防・改善するためのケアが重要です。以下を心がけることで、症状の改善が期待できます。ただし、痛みが強いものや、ケアを続けても一向に改善しない場合は、早めに皮膚科専門医のいる今福つるみ内科皮フ科クリニックへご相談ください。
フットケア
- 入浴後の柔らかい状態で軽く角質を除去する
- 尿素配合クリームなどで十分に保湿する
- 適切なサイズの靴を選ぶ
- 巻き爪にも注意を払う
- 過度な角質除去は避ける など
生活習慣
- バランスの良い食事を心がける
- 十分な水分摂取を行う
- 適度な運動で血行を促進する
- ストレスを適切に管理する
- 定期的な皮膚チェックを行う など