肌のかゆみについて

皮膚のかゆみは医学的には「掻痒感(そうようかん)」と言います。軽い虫刺されのようなものから、眠れないほど激しいものまで、その程度は様々です。
かゆみは皮膚の異常を知らせる重要なサインであり、単なる不快症状として軽視してはいけません。掻くことで一時的に楽になりますが、繰り返すことで皮膚に傷がつき、感染や色素沈着などを引き起こすこともあります。
かゆみの症状と特徴
全身に広がるかゆみ、特定の部位に限局するかゆみ、時間帯によって変化するかゆみなど、それぞれに特徴があります。かゆみの現れ方によって、原因となる疾患を推測することができます。
例えば、夜間に強くなるかゆみはアトピー性皮膚炎などでよく見られ、入浴後に悪化する場合は皮膚の乾燥が原因であることが多いです。また、ストレスで悪化する、季節によって変動するなど、かゆみのパターンを把握することが診断の手がかりとなります。
かゆみの原因
皮膚の乾燥
皮膚の乾燥は、かゆみの原因として非常に多く見られます。加齢、空気の乾燥、過度の洗浄などにより皮膚のバリア機能が低下すると、外部刺激に敏感になりかゆみを感じやすくなります。特に高齢者では皮脂分泌が減少するため、乾燥によるかゆみが起こりやすくなります。
アレルギー反応
花粉、ハウスダスト、食物、薬剤など様々な物質に対するアレルギー反応により、かゆみが生じることがあります。じんましんのように急激に現れるものから、接触皮膚炎のように徐々に現れるものまで、アレルギーの種類により症状は異なります。
感染症
細菌、真菌(カビ)、ウイルス、寄生虫などの感染により、かゆみを伴う皮膚症状が現れます。特にみずむし(白癬)は足や体に強いかゆみを引き起こす代表的な真菌感染症です。
かゆみを起こす主な皮膚疾患
アトピー性皮膚炎
慢性的にかゆみを伴う湿疹を繰り返す疾患で、皮膚バリア機能の低下とアレルギー体質が関与しています。適切なスキンケアと薬物療法により、症状をコントロールできます。
接触皮膚炎(かぶれ)
特定の物質に触れることで起こる皮膚の炎症で、原因物質との接触部位に一致してかゆみや赤みが現れます。原因物質を特定し、避けることが治療の基本となります。
じんましん
皮膚の一部が赤く盛り上がり、強いかゆみを伴う疾患です。数時間で消失することが特徴で、食物や薬剤、物理的な刺激など様々な原因で起こります。
みずむし(白癬)
白癬菌というカビによる感染症で、足の指の間や足底に多く発生します。じめじめした環境を好み、強いかゆみとともに皮むけや水ぶくれを生じます。適切な抗真菌薬により治療可能ですが、再感染しやすいため根気強い治療が必要です。
乾癬
皮膚の細胞が異常に早く増殖する慢性疾患で、赤い発疹の上に白い鱗屑が付着し、かゆみを伴うことがあります。
日常生活での対処法
かゆみを悪化させないためには、日常生活での工夫が重要です。以下の対策を試してみてください。それでも症状が改善しない、あるいは頻繁に繰り返す場合には、皮膚科専門医のいる鶴見区・今福鶴見・横堤の今福つるみ内科皮フ科クリニックへお気軽にご相談ください。
掻き壊し防止
- 爪を短く切り、やすりで滑らかに整える
- かゆい部分を冷たいタオルや保冷剤で冷やす
- 掻く代わりに軽く叩いたり、押さえたりする
- かゆみ止めの外用薬を常備し、早めに使用する
- ストレスを溜めないよう、リラックスできる時間を作る など
スキンケアの方法
- 入浴はぬるめのお湯(38~40℃)で短時間にする
- 刺激の少ない弱酸性の石鹸やボディソープを使用する
- タオルでゴシゴシこすらず、優しく押さえるように水分を拭き取る
- 入浴後は肌に合った保湿剤を使用する
- 肌に合わない化粧品や洗剤は使用を控える など
生活環境の整備
- 室内の湿度を50~60%に保つ
- 衣類は綿などの天然素材で、肌触りの良いものを選ぶ
- 寝具はこまめに洗濯し、ダニやほこりを除去する
- 汗をかいたらすぐに拭き取るか、着替える
- アルコールや香辛料など、体を温める食品を控えめにする など