高血圧とは?

高血圧(高血圧症)は、血管にかかる圧力が慢性的に高い状態です。一般的に収縮期血圧(上の血圧)140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)90mmHg以上が高血圧に該当します。現在の日本では、20歳以上の方の2人に1人は高血圧であり、非常に身近な病気と言えます。
高血圧はほとんど自覚症状がないまま進行します。知らない間に心臓病や脳卒中などの重篤な合併症を引き起こす可能性がありますので、早期発見と適切な治療が重要です。
こんなお悩みありませんか?
- 健診で血圧が高いと指摘された
- 家族に高血圧の人がいる
- 塩辛いものが好き、外食が多い
- 頭痛、めまい、肩こりが続く
- 動悸、息切れを感じることがある
- 塩辛いものが好き、外食が多い
- 最近、体重が増加している など
高血圧の分類と原因
本態性高血圧
明確な原因が特定できないタイプで、高血圧の約大多数を占めます。遺伝的要因に加え、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙、過度の飲酒などの生活習慣が複数関与して発症・進行します。
二次性高血圧
腎臓病、内分泌疾患(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など)、睡眠時無呼吸症候群など、他の病気に続く形で発症する高血圧です。原因疾患の治療により血圧の改善が期待できます。
糖尿病と高血圧の危険な関係
糖尿病患者様の多くが高血圧を合併しており、両疾患の併存は心血管疾患のリスクを相乗的に高めます。
腎障害
高血圧の持続は腎臓の動脈硬化を起こし、腎機能を低下させます(高血圧性腎硬化症)。腎機能の低下が進行すると、最終的に透析が必要となることもあります。糖尿病との合併では、進行がさらに加速します。
合併しやすい理由
高血糖により血管内皮が障害され、動脈硬化が進行します。また、インスリン抵抗性により腎臓でのナトリウム再吸収が増加し、体液量が増えることで血圧が上昇します。糖尿病性腎症が進行すると、さらに血圧管理が困難になります。
糖尿病患者様では軽度の血圧上昇でも合併症リスクが高まるため、糖尿病を合併している場合、血圧管理目標はより厳格になります。
高血圧の合併症
心血管疾患
高血圧が続くと心臓への負担が増え、冠動脈の動脈硬化が進行します。これにより、心肥大や狭心症、心筋梗塞、心不全などのリスクが増加します。
脳血管疾患
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のリスクが高まります。特に早朝の血圧上昇(モーニングサージ)は脳卒中の危険因子となります。
当院での診療
今福つるみ内科皮フ科クリニックでは、糖尿病専門医である院長が高血圧の診療を行い、糖尿病などとの関連も考慮した総合的な治療を提供いたします。
検査と診断
診察室での血圧測定に加え、家庭での血圧測定の指導も行います。血液検査、尿検査、心電図検査により、臓器障害の評価と二次性高血圧の鑑別を行います。24時間血圧測定が必要な場合は、連携医療機関をご紹介します。
高血圧の診断基準
収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)のいずれか一方でも基準値を超えれば高血圧と診断します。ただし、正常範囲内でも130/85mmHg以上の「正常高値血圧」は、将来の高血圧発症リスクが高い状態です。「正常範囲だから」と油断しないようにしましょう。
| 分類 | 収縮期血圧=上の血圧(mmHg) | 拡張期血圧=下の血圧(mmHg) |
|---|---|---|
| 至適血圧 | 120未満 | 80未満 |
| 正常血圧 | 130未満 | 85未満 |
| 正常高値血圧 | 130~139 | 85~89 |
| Ⅰ度高血圧 | 140~159 | 90~99 |
| Ⅱ度高血圧 | 160~179 | 100~109 |
| Ⅲ度高血圧 | 180以上 | 110以上 |
※診察室で測定した場合の数値(診察室血圧)。家庭血圧の場合はやや低くなり、135/85mmHg以上で高血圧と診断
治療方針
生活習慣の改善を基本とし、血圧コントロール不良の場合には、必要に応じて降圧薬を処方します。糖尿病合併例では、腎保護作用のある薬剤を優先的に使用します。
生活習慣の改善
高血圧治療の柱となるのは、生活習慣の改善です。初期の本態性高血圧であれば、薬に頼らず生活習慣病の改善だけで治療できることもあります。
食事療法
- 塩分は1日6g未満を目安に
- 野菜、果物を積極的に摂取する(カリウム摂取)
- 魚を中心とした良質なタンパク質を摂る
- 飽和脂肪酸を控え、不飽和脂肪酸を増やす(※)
- 適正カロリーを維持する など
(※)飽和脂肪酸は肉類や乳製品などに、不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に多く含まれる
運動療法・生活改善
- 有酸素運動を行う、意識して体を動かす
- 適正体重を維持する(BMI25未満)
- 禁煙する
- 節酒する(ビールなら1日500ml程度)
- ストレス管理を行う
- 十分な睡眠をとる など