血糖値が高い状態のリスク

血糖値は血液中のブドウ糖の濃度を示す数値で、正常では空腹時70~110mg/dL、食後でも140mg/dL未満に保たれています。これを超える状態が「高血糖」に該当します。
血糖値が高くても自覚症状はほとんどありませんが、これが続くと全身の血管が傷つき、様々な合併症を引き起こす可能性があります。症状がないからと放置せず、医師とともに早期に対策を行いましょう。
血糖値の基準値
血糖値は食事、運動、ストレス、体調などにより一日の中でも大きく変動します。そのため、測定するタイミングによって異なる基準値が設定されています。
- 空腹時血糖値…8時間以上絶食後の血糖値
- 食後2時間血糖値…食後2時間経過した血糖値
- 随時血糖値…時間や絶食の条件なしに測定した血糖値
正常型
- 空腹時血糖値:110mg/dL未満
- 食後2時間血糖値:140mg/dL未満
- 随時血糖値:140mg/dL未満
境界型(糖尿病予備群)
- 空腹時血糖値:110~126mg/dL未満
- 食後2時間血糖値:140~200mg/dL未満
- 随時血糖値:140~200mg/dL未満
糖尿病型
- 空腹時血糖値:126mg/dL以上
- 食後2時間血糖値:200mg/dL以上
- 随時血糖値:200mg/dL以上
境界型の段階でも、動脈硬化は進行し始めています。この段階での生活習慣改善が、糖尿病への進行を防ぐ鍵となります。
血糖値が高くなる原因
生活習慣要因
過食、特に糖質の過剰摂取が直接的な原因となります。清涼飲料水、お菓子、白米、パンなどの摂りすぎは血糖値を急上昇させます。また、運動不足により筋肉での糖の利用が減少し、血糖値が下がりにくくなります。
体質的な要因
インスリン分泌能力の低下やインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)により、血糖値が高くなります。上述した生活習慣のほかにも、加齢、肥満、家族歴などが影響します。
その他の要因
ステロイド薬などの薬剤、膵臓や肝臓の病気、ホルモン異常なども高血糖の原因となることがあります。
高血糖による症状
軽度の高血糖
血糖値が少し高い程度では、ほとんど症状はありません。健診で指摘されて初めて気づくことが多いです。
中等度の高血糖
のどの渇き、頻尿、体重減少、疲労感などが現れ始めます。ただし、徐々に進行するため、体が慣れてしまい気づかないこともあります。
重度の高血糖
吐き気、腹痛、呼吸困難、意識障害などが起こることがあります。「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼ばれる状態で、緊急治療が必要です。
血糖値をコントロールする方法
食事の改善
- 糖質を適量に抑える(極端な制限は避ける)
- 野菜を先に食べる(ベジファースト)
- よく噛んでゆっくり食べる
- 食物繊維を多く摂る
- 規則正しい食事時間を守る
- 間食や夜食を控えるなど
運動習慣
- 週150分以上の有酸素運動(ウォーキング、水泳など)
- 食後30分~1時間後の運動が効果的
- 筋力トレーニングやストレッチも血糖値改善に有効
- 日常生活でこまめに体を動かす(階段を使う、意識して歩くなど)など
体重管理
体重を5%減らすだけでも血糖値は大きく改善します。BMI25未満を目標に、無理のない減量を心がけます。
ストレス管理
十分な睡眠、リラックスする時間の確保、趣味や運動によるストレス発散が大切です。
薬物療法
生活習慣の改善だけで血糖値が下がらない場合は、薬物療法を検討します。DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬などの経口薬から開始することが一般的ですが、より積極的な治療が必要な場合は、インスリン療法が選択肢となります。
健診で指摘されたら
健康診断や人間ドックで血糖値が高いと指摘されたら、自覚症状がなくても必精密検査を受けてください。初期の糖尿病までなら、生活習慣の改善だけで改善できることもあります。
今福つるみ内科皮フ科クリニックでは、糖尿病専門医が血糖値が高い方への適切な指導と治療を行っています。「まだ大丈夫」と思わず、早めの受診で将来の健康を守りましょう。