やけどとは?

やけど(熱傷)は、熱や化学物質、電気などにより皮膚が損傷を受けた状態です。深さによってⅠ度からⅢ度に分類され、それぞれ治療法や予後が異なります。
やけどによる傷自体は軽度でも、適切な処置を行わないと、感染や傷跡が残る可能性があります。受傷直後の応急処置とその後の適切な治療が、良好な治癒のために重要です。
やけどの分類と症状
深さによる分類
Ⅰ度熱傷
- 皮膚が赤くなり、ヒリヒリと痛む
- 日焼けのような症状
- 水ぶくれはできない など
Ⅱ度熱傷
- 強い痛みと水ぶくれができる
- 皮膚が白っぽくなることもある
- 適切な治療で傷跡や感染症リスクを抑えられる など
Ⅲ度熱傷
- 皮膚が白色や黒色に変化
- 神経も損傷するため痛みを感じない
- 専門的な治療が必要 など
広範囲のやけどに注意
やけどの重症度は深さだけでなく、受傷範囲の広さも重要な要素です。体表面積の10%以上(子供では5%以上)のやけどは、たとえ浅いやけどであっても全身への影響が大きく、命に関わる可能性があります。高温のお湯や油、化学薬品を被ったなど、やけどが広範囲に及ぶ場合は、救急車の要請もご検討ください。
やけどの原因
熱によるもの
熱湯、火、熱した金属、蒸気などによる損傷が一般的です。家庭では特に調理中やヘアーアイロン使用時の事故が多く見られます。
化学物質によるもの
酸やアルカリなどの化学物質が皮膚に付着することで起こります。通常のやけどより深く進行することがあります。
その他の原因
- 電気によるやけど(感電)
- 日光による日焼け
- 低温やけど(カイロや湯たんぽの長時間使用) など
受傷直後の応急処置
冷却処置
受傷直後は、すぐに流水で患部を冷やしてください。水道水を15~30分程度、患部にかけ続けましょう。ただし、凍傷のリスクがあるため、冷たすぎる水や氷を直接当てることは避けてください。
服の上から冷却する
衣服の上から熱湯などがかかった場合は、衣服の上から流水をかけて冷却します。無理に脱がすと皮膚が剥がれるリスクがあるからです。また、指輪やアクセサリーは、腫れる前に外しておきましょう。
冷却後の処置
十分に冷却した後は、清潔なガーゼやタオルで患部を優しく覆います。水ぶくれが破れると感染のリスクが高まりますので、破らないよう注意してください。
やってはいけないこと
民間療法として言い伝えられている処置の中には、かえって悪化させるものがあります。味噌、醤油、アロエ、油などを塗ることは避けてください。これらは感染の原因となったり、医師の診察を妨げたりすることがあります。
受診すべきタイミング
- 水ぶくれができた場合(Ⅱ度以上)
- 500円玉以上の大きさのやけど
- 顔面・陰部、手足の関節部分のやけど
- 子供や高齢者のやけど など
当院での診断と治療
今福つるみ内科皮フ科クリニックでは、皮膚科専門医がやけどの重傷度を迅速に判断し、適切な治療を行います。
診断
やけどの深さ、範囲、部位を評価し、適切な治療方針を決定します。
治療
外用薬による治療
抗菌薬や創傷治癒を促進する軟膏を使用し、適切な被覆材で保護します。
感染予防
必要に応じて抗生物質の内服も行い、感染を予防します。
手術
重症例(Ⅱ~Ⅲ度以上)の場合や広範囲のやけどの場合には、緊急手術が必要になることもあります。提携先病院をご紹介し、迅速な治療へとつなげます。